シリーズ1ダブル総括

スカーレットバイオレット1発目の記事です。
なんかまた空白期間が空いていますが、そこはあまり深く掘り下げずここでは戻ってきたとだけ書いておきます。

 

シリーズ1も終わり使った構築記事を上げてシリーズ2をさっさとやりたいところでしたが、構築記事を書く上でどうしてもこのシリーズ1自体の環境のお話が必要だったので前略としてSV環境の特徴及びシリーズ1のお話から書くことにしました。

 


1.SVの環境特徴

 

まずは、9世代時代の特徴の話から入っていきましょう。

 

①テラスタルポケモンに対する強化幅はこれまでのシステムと比べるとかなり控えめ

SV最大の目玉といえばタイプが変わるテラスタルです。

このタイプが変わるという事情自体はポケモンの相性関係の根底を覆すある意味で禁忌を破ったみたいなシステムですが、強化幅が今までより低いこと、何よりも使うと必ず強くなるとは限らないというのがこれまでのシステムと違う点でしょうか。

6世代以降続いてきた特殊システムにおいて、耐久面は大体1.3~ターン限定のダイマックスで最大2倍の引き上げ、火力も1.5倍~火力特化したZ技に関しては2倍と引き上げの幅がかなり大きいのですがテラスタルは耐久数値が全く変わらないですしタイプ一致技の強化幅も1.33倍(1.5→2倍)なのでこれまでより火力面耐久面両方でかなり強化幅が控え目です。

また、単タイプのポケモンが同タイプにテラスタルしない限りは耐性面が変わり、裏を返せば元々持っていた有利耐性は消えてしまうことも意味しているので、切り方を間違えると本来勝てたはずの相手に負ける事象も発生し、盤面次第ではテラスタルを切らないまま対戦が終わることも十分に存在します。

これにより、歴代シリーズよりもポケモンの単体性能はシステム的には落ち着いたと言え、テラスタルは単純強化というよりは違うポケモンに成り代わる(ターン消費なしで交代してるイメージ)性質変化の側面がとても強いシステムと言えます。

なのでダイマックスの場合は先切り後切りどっちが強いかみたいな話題が出ていましたが、テラスタルは先切りとか後切りの概念というよりは後の対面まで考慮した相性考慮の方が重要になってきます。

 

②守るの価値がとんでもなく高い

このタイプ相性の禁忌に触れたテラスタルというシステムですが、切られていない限りは対面の相性有利不利なんてものは実質的に存在しないに等しいです。
なので、素早さとタイプ全て含めた有利対面を作ったとしてもそこで殴りかかる行為が今までは安定行動だったのに今作では見切り発車的になるシチュエーションがかなり多く、守るで様子を見ることの重要性がとても高くなっています。

また、守る不採用のポケモンでも隣でワイドガードをすれば限定的に見切り発車を防ぐこともできるので、ワイドガードの価値も個人的には歴代世代より高いです。

副次的には、現環境に限ってはトリックルーム、追い風等の時間制限付きのS操作技中に特殊なコンボをすることがほとんどなく単調な攻撃しかしないので、素早さ制御で返せるかどうかよりも守るで逃げ切る手段を持っているかどうかの方が分かれ目になることも多いです。

 

③等倍で倒せるプランの重要性
環境が固まるとテラスタイプの候補もある程度固まるわけですが、それでも大体テラスタイプ候補はタイプ相性上の一貫を切ったものが多く、弱点を突いて倒す前提のプランは候補が絞られていても見切り発車になりやすいです。

なので、SVにおいては候補のテラスタイプ全てを等倍で通る状態がかなり重要となります(シリーズ1後半から流行った飛行テラスカイリューはその典型例)。

特に拘りポケモンはこのセレクトがとても重要になってきます。

 

 

2.シリーズ1の特徴

ここからシリーズ1の特徴のお話となります。

 

①ヘイラッシャ(寿司コンボ)が最強のポケモンとして君臨

ヘイラッシャとシャリタツのコンボ通称寿司コンボがこの環境では間違いなくシリーズ1の最強のポケモンとして定義できたと思っています。
あらゆる仕様がずるいことで有名なポケモンですが、環境目線では以下の理由となります。

 

・素早さラインの都合上S2倍ヘイラッシャを抜けるポケモンがとても少ない

ヘイラッシャは準速87、最速95で基本的に考慮するべく素早さが174~190付近となりますが、シリーズ1は100族を超えているポケモンすら少ない環境ですので、基本的にはヘイラッシャの上をとることができません。

これによりどのような対策をとるにしてもまずヘイラッシャに動かれる前になんとかできるポケモンがいきなり大きく絞られてしまう事象が発生しています。

 

・あまりにもテラスタルと相性が良すぎる
個人的にはヘイラッシャを最強たらしめている一番の要因がテラスタルでシリーズ1で一番テラスタルとテラバーストを使いこなしてるポケモンだと思っています。
正直今の仕様だろうが水タイプ固定ならいくらでも誤魔化せたのですが、ヘイラッシャはテラスタルで性質変換を行いしかも全ステ2倍アップで等倍の殴り合いもほぼ負けない為、テラスタルが存在する世界観での定石を全て否定してきます。

このテラスタルが後押ししてヘイラッシャに無茶苦茶なカスタマイズ性が生まれている為、ヘイラッシャが強いというお話も一枚岩ではなく、実質的にはヘイラッシャという同名の違うポケモンが環境に沢山いる現象が起こっています。

これによりヘイラッシャを崩すためには、黒い霧やクリアスモッグなどの型に依存しにくい限定的な技を要求されることが多く、これらは使用者の汎用性の低さや回せるサイクル数が少ないことが多いため、後述する単体運用の実現性も含めてヘイラッシャ側が動きだけで対応する術を持ってしまっています。

ただし、マスカーニャが抑止力になっている関係で候補テラスが実質草抵抗のタイプのみに絞られていたのが幸いといったところでしょうか。


・ヘイラッシャ単体運用の段階でそもそも強い

まず種族値の段階でBとDがひっくり返ったカビゴンなので単体で既に強いです。
単体で欠伸で流す、ウェーブタックルで殴るという待ち行為ができる為、行動選択肢の多さや何よりも単体選出の実現性がしっかり高くヘイラッシャ側の性質も行動も本当に選択肢が広く取れます。ついでにシャリタツが残党処理として何故か結構強いのはとてもよくないと思います。

個人的に一番強いと思ってるヘイラッシャは欠伸採用型の動きのモードチェンジができる型で、本気で詰める構築の候補の一つでした。というかこれ一人でカバマンダしてるのと同じなんですよね。

 

余談
といっても個人的には全ステ2倍アップと天然に関してはバランス上ある程度納得がいっている仕様だったりします。
というのも

全ステ1段アップだとそもそも2対1で勝てる性能になっていないから使う価値がない。
天然がないと猫騙し+積み技、威嚇+積み技などで簡単に起点にされてヘイラッシャ討伐後裏も全抜きされる。

という二つの観点からそもそもこの二つがないと対戦で耐えうるコンボとして誰も使ってくれないので、確かにここまでは納得がいきます。

自分が本当に性質上やばかったと思ってるのはテラスタルと相性良すぎた点とウェーブタックルを習得したことの二つだと思っていて、テラスタルはさっき語った通りでウェーブタックルがなかったら受け出しできるポケモンがもっと多かったので対処法も広かったように思えます。

 

 

②他の強い構築とヘイラッシャの対抗策があまりにも違いすぎる

前提としてヘイラッシャが最強生物として君臨してる考えはほとんどの人がもっていると思いますが、別に構築自体はヘイラッシャしかいないわけでもなく対抗勢力がいます。

他に上げられる強構築がイッカネズミコノヨザル、イエッサングレンアルマ、ヤミカラス系グッドスタッフ(=ヤミカラスサーフゴー)の3つでヘイラッシャ込みでシリーズ1の4強(ヤミカラス系抜いて3強だという人もいますが)だといわれることが多く、ここは自分も同意しています。

 

で、シリーズ1の難しい所がこれらの対策有効札と対ヘイラッシャがあまりにも違いすぎる点にあります。

 

・イッカネズミコノヨザル
高火力の単体攻撃をぶつけてイッカネズミを一撃突破できるポケモンを用意してフレンドガード持続時間を短くする
候補のテラスタイプ全部に対して等倍で殴れる超高火力全体攻撃をぶつける(ワイドフォース、火力アップ持ちガブの地震etc) ※低火力全体攻撃は憤怒の火力を盛るだけなのでNG
憤怒の拳を抵抗以上に抑えられるポケモンを並べてコノヨザルの遂行速度を遅める

 

・グレンアルマイエッサン
とにかくエスパーの一貫を切った上でプランを考える
ワイドガードをちらつかせる

※動きがとにかく前のめりなのでテンポを落としながら崩すことを考える

 

ヤミカラス系グッドスタッフ

まず前提として初手のサーフゴーを最低被害で流す

※2発目のゴールドラッシュが打てない且隣がほぼ無傷な状態を作る。ただしヤミサーフ側はサーフゴーだけで倒しきる気はなくて削った所をスタート地点にしてるだけなのであくまでこれは対処法のゴールではなくただの対戦が続く権利

ヤミカラスイカサマが打点として生きない盤面を極力作る

 

・ヘイラッシャ
黒い霧、クリアスモッグなどの特殊な対策を当てる
ウェーブタックルを耐えるポケモンで構成する
  
対ヘイラッシャ以外はある程度共通項がある(悪タイプが有効だったり、地面タイプを利用した殴り合いが有効である点)のでこの3つだけをなんとかするとなると比較的現実的に構築が組めます。
が、ヘイラッシャは、水耐性や特殊ギミックという全く真逆のポケモンを要求している点がとても厄介で、ガブリアスカイリューという他3つに対応しやすいポケモンはヘイラッシャに手も足も出ないことが多いです。
環境目線だと最終的にはクリアスモッグと単体性能を両担保したグレンアルマを使うのが一番精神衛生上楽だと判断した人が多いようにも感じました。(最後の方は単騎採用も目立ちました。)

 

 

 

③単体性能が強い2強

ここまで話してきたのはコンボ規模で強いポケモンでしたが、個人的にコンボ性全部抜きにした単体性能が高いポケモンとしてカイリューとドドゲザンの2強だと思ってました。

 

カイリューは語るまでもない現行の9世代で使える全てのポケモンの中でテラスタルとの相性抜群の単体性能がシングルダブル共々最強のポケモンです。
型もシングルでいる炎の渦カイリューなどがダブルにも流入してきたり、雨パだと特殊で殴ってきたりと幅広いですが、流石に2対1で勝てる性能はしていない為、鉢巻等の火力面での脅威度が高い型以外は見てからも対応が追いつきやすい側面はあります。

それでも2体1を強要しているポケモンでもあるので単体性能は最強格です。

 

ドドゲザンはまさに令和のメタグロスといえる存在で、元々の4~5世代のグロスよろしく6割⇒4割の削り方が得意なポケモンである為、隣が6割削ってくれるダブルの方が攻撃面の適正はシングルより高いと感じています。
特に悪鋼状態と悪単状態を使い分ける前提で理論上ほぼ全てのアタッカーとタイマンで殴り勝てる点がとても強く、苦手な相手に対する高い補完も相まって本当に昔のメタグロスを思い出させるポケモンです(というか数値的にも絶対メタグロス意識して作っている)。

 

個人的に最終版の構築にこの2匹のどちらかはかならず入った状態のものを結論としたいと思っていました。

 

3.最後に

 

とりあえず、シリーズ1の環境面のお話としてはここまでとします。

構築記事を書く上で分けないとゴチャゴチャしてしまうという理由で分けましたが、これはこれで書きたかったのでちょうどいい機会でした。