構築記事書くのも久しぶりですが、先週行われたがにゅーオフ vs 東北オフ 選抜チーム対抗戦での使用構築の紹介となります。
一応シリーズ9は過去作の事例では全国ダブルに相当するルールですが、厳密には現行のルールってそもそも剣盾に全てのポケモンが参戦していないので全国ダブルといっていいのか少し怪しいかもしれません。
ただ、このブログタイトルとしては便宜上全国ダブルと記載しています。
1.概要
弱点保険ドラパルトを中心にした構築です。
コンボの組み合わせも8世代が始まった直後から活躍していたドラパルト+電光石火ニンフィアとなっています。
ニンフィアはドラパルトと一緒に攻撃する+コンボ起点両面ができるという点で未だに弱点保険ドラパルトと組み合わせる上での唯一性が高く、オーロンゲやGファイヤー、一撃ウーラオスといった盤面作りや切り返し用のポケモンとして悪タイプが多くみられる現環境ではそれらをどかす手段としても有効です。
基本ムーブはニンフガエンポリ2のどっしりと構えたポケモンで流すように動いて中盤からドラパルトを中心とした高速ポケモンで切り返す流れとなっています。
1-1 シリーズ9の中心ポケモン
そもそも今回の構築の軸を決めるにあたってシリーズ9は誰が中心になっているのかを考える必要があります。
冠リリース後、大量の準伝説ポケモンが環境に現れしかもサマヨール、ドラパルト、リザードン等といった鎧環境で強かったポケモンも駆逐されることなく生き残ってるものが多いため、要注意とされるポケモンがとてつもない数になっていて正直収拾がついていないです。
こんな環境の中、誰が本当の環境の中心にいるのかと考えたところ自分はレジエレキと弱点保険持ちのダイマックス鋼タイプの二つに焦点を絞ることにしました。
レジエレキは常識外れの素早さと特性の火力から現環境で構築を考える上でレジエレキに制圧される状況は話にならないという共通認識を皆持っているでしょうし、このポケモン1匹がまた7世代のコケコvsランドの構図のごとく環境の中心を電気タイプに対する地面タイプの構図を復活させました。
また、メタグロス、テッカグヤを始めとした高種族値かつ特性で威嚇やバークアウトで簡単に停止しない保険採用鋼タイプも大変パワーの高いポケモンであり、必然的に主力攻撃が耐久力をさらに上げるダイスチルが採用され、メタグロスはダイアースも容易に採用できることから弱点を突いたら裏目があるのに等倍攻撃もほぼ通らなくなるという事態になり対処難易度も危険度も高いです。
自分はこの弱点保険鋼タイプの危険度の高さが大きな起因となってリザードンみたいな高火力炎タイプの価値が高い環境だと思ってるぐらいです。
他にも本当に様々なポケモンがいる環境ですが結局シリーズ9はレジエレキvs地面タイプ、鋼タイプvs炎タイプ の構図が全ての基本になっていると思っており素直にこの勝負を仕掛けるか割り込みを挟めるポケモンが有益だと考えていました。
今回採用したドラパルトはこの環境に割り込みを入れることができるポケモンであり、レジエレキに対してはエレキネットすら受け付けない電気耐性持ち、鋼に対してもメタグロスには弱点をとりテッカグヤのS+1よりも速い素早さで殴り合いができるという点で鋼とも十分戦える性能だと判断しました。
1-2.対レジエレキの考え方
レジエレキを捌くというのは単に地面タイプを入れればそれで解決するという簡単な話ではありません。
初手で有利をとるだけならば地面タイプ+何かを合わせればいいだけなので簡単ですが実態は驚異的な素早さによるボルトチェンジで逃げられたり、初手対面だとウーラオスの不意打ちなどは余裕で圏外なので大体は倒しきれずに一度下げられてしまいます。
そのため、対レジエレキを考える上では最初に対面して逃げられる→再度出てきたときに倒すという2回捌く流れが完成しているかがとても重要になります。
自分の構築の場合サンダー以外全てのポケモンがレジエレキの攻撃でほぼ一撃で倒されないという特徴があり、特に初手は耐久が高いニンフィアガエンポリ2で盤面を作る為、エレキネットの影響も小さいです。
そして後続からさらにタイプ面も強くダイジェット1回でレジエレキを抜かせる素早さを持ったドラパルトでゲームエンドに持ち込むプランになっている為、2週目のレジエレキにも隙を見せない構図になっています。
この構築は地面タイプを採用していないので一見するとレジエレキに好き放題されそうに見えますが、上記の手順でレジエレキを捌くルートを構築しています。
2.個別解説
ドラパルト
163-189-95-*-96-194
火力
130ダイホロウで187-151メタグロス乱数下二つ以外1発
130ダイドラグーンで177-161コータス乱数下二つ以外2発
構築の軸です。
個体単体としての特徴は意地っ張りにしている点があげられます。
火力面が振り切りでちょうどメタグロス1発ラインなので、弱点保険と組み合わせるとダイマックスしても貫通することができて、対弱点保険鋼タイプの要件を綺麗に満たすことができます。
素早さも実数194がちょうどSランク1でフシギバナに対応しているラインであり、そもそもダイジェット1回でレジエレキを抜かせる素早さの最低値が186であることからも落とす理由がありませんでした。
最速にしない事のネックはドラパルトミラーとレイスポスですが、ドラパルトミラーは冠以前よりは発生率が下がったこととレイスポスはレジエレキの攻撃を電気タイプなしで流せるぐらいの耐久力を持ったポケモンで固めていることからレイスポスにも同じことができる為、対応できると判断しました。
ニンフィア
201-*-98-165-151-81
B
167ボルトロスの珠130ダイジェット耐え
172ドラパルトの珠130ダイホロウ耐え
D
174テッカグヤの130ダイスチル耐え
167レジエレキの珠140ダイサンダー耐え
採用理由自体はこちらも概要の段階で述べているためそこは省略します。
序盤の立ち回りがドラパルトが出てくるまで流すことを重視している点と高火力特殊のダイマックスを強く誘発するポケモンなので、欠伸を採用しています。
特にニンフィア本体は特殊ならば火力補正のないテッカグヤに落とさない耐久力をしているので、初手でダイマックスしたテッカグヤに欠伸を入れることに成功したら大幅に有利になります。
持ち物はメタグロスの前で無理やり欠伸を打てるリリバか迷いましたが、積極的に狙われやすい性質をしている以上鋼と対面した時に結局リリバ込みでも許容できるHPが限られていて持っている意味がなかったなんてことがありましたし、珠ダイマックス技をギリギリ~2割残しで耐えるような耐久設定にしていてピンチベリーが強く生きる局面が多いのでピンチベリーの採用となりました。
ステータス面はヨロイ環境の個体を使いまわしている為実態は防御を2~3ぐらい落とせるのですが、流石にS+2でウーラオスを抜かせないのは響くことが多いので1でもいいのでSに回すべきでした。
ガオガエン
201-155-111-*-126-92
D
C1.167フシギバナの珠130ダイアース耐え
C1.197レイスポスの珠110ダイアース耐え
S
ダイマックスなしでフシギバナを流せる駒+ゴーストや悪を流すために採用しています。
鎧以前はD126程度あれば高火力の特殊水ぐらいしかガオガエンが一撃で倒されるリスクがなかったですが、冠以降は等倍でも無理やり貫通してくるレジエレキやガオガエンが止める手段のない手助けダイアースで貫通を狙ってくるレイスポスがいることから、突撃チョッキを持たせることの有用性が上がりました。
最初に書いた通りレジエレキに対しては地面タイプなしで流すプランをとっていることから高火力設定のレジエレキに倒されないことは重要であり、このガエンは実数152の手助け珠ダイサンダーにまで対応しています。
素早さはドラパルトのダイジェットの恩恵を大きく受ける設定値にしましたが、鎧環境と違って最速モロバレルの存在もいなかったり明確に抜かしてアドバンテージがあったジュラルドンも無視できるぐらいの採用率の為、実数84まで落として物理耐久力に割り振ってよかった気がします。
バークアウトの枠をD.D.ラリアットをはじめとする物理悪にするとガエンをダイマックスさせる選択肢をよりとりやすくなりますが、序盤固いポケモンで流す際仮想敵であるレイスポス、特殊水やテッカグヤを鈍らせることが重要であるため、バークアウトを採用しました。
連撃ウーラオス
175-182-120-*-81-163
シリーズ9は水タイプがゴリランダーとレジエレキに対して行動制限がかかりやすい為、水タイプの採用を考えずに行ってしまうと簡単にそれらへの一貫ができてしまいますが、対セキタンザンを考えた時にどうしても水タイプが欲しくなりました。
敵のセキタンザンに対してダイウォール以外で逃げることを許さず、ドラパルトのダイマックス技ととても相性がいいことからこの枠は連撃ウーラオスが適任だと判断しました。
ドラパルト単体だとダイマックスランドロスと殴り合いを行う際にケースバイケースで勝てたり負けたりと不安定な一面もあるので、ランドロスの上から致命傷を入れることができる点も評価点でした、
明確に仕事をこなしてほしいという名目で採用しているので、最初にあげた水タイプが直面する行動制限を一番回避できる気合の襷を採用しています。
技は目的と一致しているインファイト水流連打見切りまでは説明不要として、ラスト1枠に挑発としています。
元々上記3つの技で基本的にやりたいことが完結しており、ラスト1枠は挑発としました。
前のめりな動きとこれ以上な動きと嚙み合っているアクアジェットや隣のドラパやガエンを強くできるコーチングも試しましたが、ウーラオスが先頭に出ているときはサンダーやドラパルトと並んでいることが多くとにかく単調な攻撃しかできない為、キノコの胞子、欠伸、トリックルーム等の絡め手をきっちり止めることができる挑発は前のめりな動きを阻害されない点で一番しっくりきました。
サンダー
166-*-105-177-110-167
この枠に一番求めた要件は一撃ウーラオスをはじめとしたドラパルトの苦手な相手に対して代打として戦えることです。
簡単にいうとこの構築の裏エースであり、ドラパルトの代わりに選出してダイマックスしても強いしドラパルトの隣で殴っても強いです。
サンダーがドラゴンの苦手な相手を幅広く相手にできることはラティオスが強かった時代からの知見であり、ラティオスと近い有利不利関係を持ったドラパルトにも当然該当します。
構成は本当に単純な最速CS珠の攻撃技のみの構成であり、基本的にはダイマエースにしようがドラパの隣で殴ろうが高出力で攻撃することしか行いません。
ダイマックスするしないの選択肢が広いポケモンである為、選出時も固いポケモンで盤面を作る基本戦術に固執せず、初手から出して盤面を見てからダイマの有無を決める動きも可能です。
ポリゴン2
191-*-134-126-135-82
B
168エースバーンの一致珠飛び膝蹴り耐え
182ウーラオスの珠インファイト耐え
D
152レジエレキの手助け珠130ダイサンダー耐え
この枠は最後までかなり悩んだ枠であり、要求は特殊水に明確に強いがっしりとしたポケモンであることです。
というのも序盤の盤面作りの基本形であるガオガエン+ニンフィアはカプ・レヒレに対しての圧が弱く、早々にダイマックスを切られて手助けダイストリーム等でガオガエンを一撃突破されたりしたら盤面を作るも何もない状態になってしまいます。
フェアリーでもある為、初手でドラパルトで強硬突破する手段をとろうとしても珠を持たれるとダイフェアリーで返されてしまうので序盤の固いポケモンで流す過程の中に水タイプを流せる駒が必要でした。
ドラゴンタイプが軸の構築でカプ・レヒレを流す際にこれ以上なく理想的なのが受けることも倒すこともできる草タイプなのですが、問題はその流れからナットレイやゴリランダーを採用すると構築全体で素早さを制御する手段がダイジェットのみになるため、エルフーン系の追い風構築に簡単に制圧されてしまう問題が発生します。
というわけでトリックルームができることも実質的に条件に加わったのですが、草タイプでトリックルームができるポケモンかスペックで水タイプを抑え込んで怪電波で弱体化を狙えるポリゴン2のどちらかとなり、流石に単純な性能やトリルが使える草タイプは全てゴーストかエスパーが複合していてドラパルトと苦手な相手がだだ被りしていた為、ポリゴン2の採用に決定しました。
ちなみに。この候補に挙がった草タイプの中には大真面目に原種ナッシーがいて、もし本採用になっていた場合はがにゅのチームにナッシー使ってる人が二人いるというとんでもない事態になっていました。
攻撃技はトライアタックの採用としていますが、対ランドロスはウーラオスを絡めたプランで完結していることとレジエレキを流す際に単純にタイプ一致で2発でレジエレキを倒せることが重要だった為、こちらを採用しました。
数値設定はヨロイ環境から使っている物理も特殊も行動が保証されたステータス設定で、冠以降でもレジエレキの手助け珠ダイサンダーの対応しています。
ただライジングボルトや控え目レジエレキには貫通させられてしまうので、BとDのバランスは今の環境向けに弄る余地があるかもしれません。
最後に
去年の王者決定戦以降いろんな心境があってポケモン以外の事に時間を割くことが多かったのですが、久しぶりに本気で作った構築でした。
剣盾における全国ダブルは、結局何がこの環境の中心にいるのかずっと分からないまましっくりとした構築が組めず、今回でやっとそこが見えてきたように思えます。
といっても多数のポケモンのステータス設定だったりポリゴン2の枠だったりと個人的にはもう少し一考の余地がある部分は多かったです。
後はこの構築は自分の好みがすごく露骨に出てしまっているなとも思っています。
自分自身7世代で主流だった電気タイプvs地面タイプという構図がかなり苦手で、ドラゴンが一番強くその対抗馬に鋼が出てくる環境の方が好きな昔の思想を引きずった一面があります。
今回は電気タイプがコケコでないことをいいことに電気vs地面にドラゴンで対抗する選択肢を選んでいる為、この辺の引き出しはもう少し広く持つべきだと感じました。
正直ドラパルトってポケモンが剣盾にいなかったら僕は一体どうしてたんだろと思います()。